立憲民主党・国民民主党:「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」を提出


まとめ
立憲民主党と国民民主党は衆議委員に「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」(インターネット投票推進法案)を提出した。この法案では、インターネット投票を推進するものであり、セキュリティ対策としてブロックチェーンの導入にも触れている。新型コロナウイルス蔓延防止のためにインターネット投票の導入が検討されている。

6月11日、立憲民主党国民民主党は「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」(インターネット投票推進法案)を衆議院に提出したと明らかにした。この法案は選挙などへのインターネット投票導入推進を提案したものであり、セキュリティ確保のためにブロックチェーン技術活用も検討されている。

法案提出の背景

立憲民主党は本法案提出における背景についてプレスリリースで以下のように説明している。

新型コロナの感染が日本中に広がる中においても、様々なレイヤーでの選挙は実施をされ続けています。選挙が実施されることとなれば、当然、日本国憲法15条において定められた「参政権」を保障し、全ての有権者が投票する権利を確保することが極めて重要です。これまでもコロナ禍において全国各地で選挙が開催されましたが、投票所及び開票所にて人々が集まり、紙と触れ合う作業を行うことは濃厚接触機会を増やすこととなり、集団感染リスクを助長しかねません。

全国で開催されている選挙の投票所などには人が多く集まり、新型コロナウイルス感染拡大のリスクが高まってしまうという現状の課題を指摘した。さらに「年齢や身体的な条件、地理的な制約その他の要因に基づき投票所への移動に困難を有する者を含む全ての選挙人」に平等な投票機会を確保するためにはインターネット投票の導入が必要不可欠であると訴えている。

この提案は国政選挙を限定とした規模ではなく、地方自治体議員選挙・最高裁判所裁判官国民審査・憲法改正の国民投票も対象としているとコメントしている。

この法案提出後、デジタル政策プロジェクトチーム座長である後藤祐一議員は記者の取材に対して、2025年の衆議院選挙からの本格実施を目標にしていると話した。なお「新型コロナウイルス感染症により自宅や宿泊施設で療養している方には早期実施することを盛り込んでいる。」と説明し、「この法案提出から政治の世界のDXが今後さらに多くの広がりを見せるだろう。ぜひこれについて注目していただきたい。」と語った。

法案可決に向けた与党への交渉などはこれからであることから今後超党派で取り組みたいと説明を行なっている。

具体的な法案詳細

法案ではインターネット投票の導入について3つの項目に分けて概要を説明している。

  • 選挙人の投票機会を等しく確保

投票所への移動が困難な人も含めた、全ての選挙人の投票機会の平等な確保。

  • 利便性の確保

PCやスマートフォンなどの端末で利用可能に。場所を問わず海外でも投票可能にするとともに24時間対応を可能に。

  • 公正・信頼性の確保

「投票の公正性」という観点での安全な認証、投票所とのオンライン接続や「データ管理のセキュリティ確保」のためのブロックチェーンなどの技術活用を実行。ブロックチェーン等を活用することで、データの改ざんを防ぎ、第3者機関や国民が監視できる仕組みを構築する。

この導入に向けたスケジュールは政府が設置する「インターネット投票導入推進会議」において、制度や技術上の課題を1年を目途に検討するとし、令和7年の衆議院選挙において本格運用する方針となっている。また新型コロナウイルスの宿泊療養者や自宅療養者などについてはインターネット投票の早期実施を検討している。

自民党の議員らからもブロックチェーン推進の声

自民党の国会議員らは5月、NFTなどブロックチェーン技術の普及を目指す「ブロックチェーン推進議員連盟」を発足している。

NFTやステーブルコインなど6つの柱をテーマに掲げた「ブロックチェーンを国家戦略に。~ブロックチェーンの普及に向けた提言~」という提言書を作成しており、これらを政府に提言することで法整備を整えた上で事業者のイノベーションを後押ししていく考えを示している。

・「ブロックチェーンを国家戦略に。」をキャッチフレーズとした国内外への積極的なプロモーションの実施

・政府のブロックチェーン政策を一元的に担うブロックチェーン担当官の設置

・ブロックチェーンに関する政府間の政策対話実施

・政府・自治体システムにおけるブロックチェーンの利用推奨および、それらを通じた技術開発促進

・政府・自治体が特定地域・テーマでブロックチェーン普及の旗振り役を担うブロックチェーン特区の積極的な支援

・政府や自治体が保有するIDと民間IDとの接続プラットフォーム(ワンストップ・ワンスオンリー実現化プラットフォーム)としてのブロックチェーン

2020年10月、日本ブロックチェーン協会代表理事で、デジタル分野で国内を代表する企業である「bitFlyer Blockchain」の加納裕三CEOが平井大臣を表敬訪問し、「ブロックチェーンを国家戦略に」するよう働きかけを行なった。

今回の立憲民主党・国民民主党によるインターネット投票のブロックチェーン活用を含めた法案提出や自民党内外でのブロックチェーン推進への働きかけを受け、今後政府がどのような方針をとるかが注目されている。

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