日立製作所:日立電子署名サービスの先行運用を開始


まとめ
日立製作所はブロックチェーン技術を活用した「日立電子署名サービス」を開発し、2021年3月より社内で先行運用を開始したことを発表しました。本サービスは、企業間の契約などの署名・押印を電子化し、ブロックチェーンを活用することによりデータ改竄を防ぐ働きがある。

株式会社日立製作所は、ブロックチェーン技術によるセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発したことを発表した。

本サービスは企業間で交わされる契約書などの紙の書類への署名・押印を電子化するものであり、ハンコレスを推進するものである。ブロックチェーンを活用することでデータの改ざん耐性を強化し、署名情報の真正性を確保する。さらにブロックチェーン基盤には企業間サプライチェーンにおけるトレーサビリティシステムなどでの採用実績があり、複数企業間の取引などに適した「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を用いて、安定したシステム運用を提供することが報告されている。

本サービスにより、企業のテレワークや業務効率化・コスト削減を支援し、ニューノーマル時代における持続可能な新たな働き方の確立に貢献したいとの考えが含まれています。

 日立では本サービスを、2021年3月から本社の調達部門で先行運用を開始しています。今回はそのフィードバックを本サービスに反映した上で同年7月以降、国内企業向けに販売開始し、将来的には北米を中心とする海外企業にも展開する予定を明らかにしました。

現在、新型コロナウイルス感染拡大対策のため、在宅勤務をはじめとしたテレワークの導入需要が高まっており、多くの企業では場所にとらわれず柔軟に働くためのインフラ環境整備を進めている。

しかし国内企業においては、企業間で交わす契約書などの紙の書類への署名・押印業務がテレワークを推進する上で大きな障壁になっていることは紛れもない事実です。原本の製本から保管まで、多くの時間とコストを要していることが大きな問題点と言える。こうした中で代替手段として、デジタル技術を活用した電子署名への関心は高まっている一方で、第3者による改ざんを防ぐなどのセキュリティの確保が課題となっている。

新たなサービスの特徴とは?

1. ブロックチェーンへの証跡情報の記録による高い真正性

今回のサービスにおいては利用者が文書に署名を行った際に電子データのハッシュ情報とタイムスタンプ情報をブロックチェーン上に記録することが可能になる。

ブロックチェーン上に格納されるデータは改ざん耐性が高く、従来のリレーショナルデータベース利用時に比べて、データの真正性を高めることが可能となった。さらにブロックチェーン基盤には、日立のマネージド型クラウドサービスである「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を用いており、経験豊富な日立運用チームによる安定したシステム運用を提供している。

2.文書の一元管理が可能

一般的に、企業が電子署名・契約を利用する際には、サービスに合わせていくつかの種類の使い分けが必要となるケースがある。しかし本サービスでは異なる企業間の情報交換を容易に実現するAPI連携によって他の電子契約サービスと接続することが可能であり、署名済み文書を本サービスに取り込み、文書の一元管理を行う機能を提供する。

3. 高い操作性

相手側の署名捺印が認証不適合な場合の差し戻し・署名の委任・承認フローのカスタマイズなど、地域性に応じた商習慣に合った操作・機能を所持している。

4. 生体情報を活用した防止対策

この日立が保有する、指静脈などの生体情報からデータの暗号化に用いる秘密鍵を生成する公開型生体認証基盤とブロックチェーン技術を融合させることが可能である。医薬・医療、金融や公共機関といった厳密な本人認証が必要とされる分野への適用を想定している。

2021年3月から日立は本サービスを調達部門で運用開始している。そのフィードバックを本サービスに反映した上で、同年7月以降、販売を開始するを予定しており、日立の企業間取引のクラウドサービス「TWX-21」と連携させてお客さまへの付加価値を高めた後に、Lumadaソリューションとして本サービスを提供していく予定としている。

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