NTTデータ開発のブロックチェーン・プラットフォームを用い、貿易事務の本格的なデジタル化へ


まとめ

NTTデータが開発したブロックチェーンプラットフォーム、「TradeWaltz」に豊田通商や損害保険ジャパンなど7社が出資を行い、貿易事務の方格的なデジタル化に取り組む。企業間で貿易書類をデータとして共有し、特恵関税適用申告などの手続きの効率化とデータ改ざんの防止策を取る。

NTTデータが開発したブロックチェーン・プラットフォームに、日本企業が共同出資を行い、貿易事務の本格的なデジタル化に取り組むことを日経が報じた。

参加企業は現在、NTTデータをはじめ、豊田通商損害保険ジャパンなど7社となっている。

現在の貿易事務においては紙ベースの書類が膨大となってしまい、社内システムへの入力や確認、倉庫への保管等、様々なコストや手間が発生することなどの課題が心配されていた。

しかしNTTデータのブロックチェーン「TradeWaltz」を使用することで、貿易書類を構造化したデータとして企業間で共有し、分散台帳に蓄積することでこれを解決するだけでなく、資金洗浄対策や特恵関税適用申告などの手続きも効率化するという。

また、データの改ざんを防止して紙の書類と同等の原本性を確保することも可能となっている。

さらにこのシステムでは輸出入企業の領収書や銀行が発行する信用状の管理、保険会社や物流会社が取り扱うその他関連文書の処理にも役立つように設計されているためさらなる業務の効率化が予想されている。

貿易取引の完全ペーパーレス化

参加企業は貿易情報管理のブロックチェーンを運営する新会社に共同出資し、今年度末までにサービスの提供を開始して、国内外の顧客約400社を誘致することを目指していることをすでに明らかにしている。また東南アジアでも貿易取引のデジタル化に取り組む見込みとなっている。

トレードワルツのロードマップでは2021年度より「貿易取引の完全ペーパーレス化実現」を目指すとともに、2022年度からは各種情報連携による「さらなる高度化」を目指すとしている。

貿易金融にもブロックチェーン導入

貿易金融では1つの取引にも関係者が非常に多く、決済完了まで非常に時間がかかること、また諸外国とのやり取りをする上で、言語の違いや商慣習、文化の違いに起因する認識齟齬が起こりうること、これらに加え紙ベースの手続きが多いことなどの課題が問題視されてきた。

こうした課題は情報伝達を促進し、契約条件が改ざん不能でいつでも参照できるブロックチェーンが解決するのに最適なもので今回の取り組みの他にも様々なものが行われている。

今年1月には、三井住友フィナンシャルグループSBIホールディングスが個人向けキャッシュレス分野と共に、貿易金融の分野でもブロックチェーン基盤を共同構築することを明らかにしている。

貿易金融領域では輸出入企業間決済を代行する「オープンアカウント取引」にブロックチェーン技術導入を行うことで、信用状も分散型台帳で管理するという仕組みを構築するという。

昨年末にはブロックチェーン開発企業R3が、同社のブロックチェーンプラットフォームCorda上で大規模な金融試験を完了しており、SBIホールディングスなどの金融大手を含む、25か国70社を超える組織が参加する大規模な貿易金融トライアルとなった。

結果的にはこれまで紙やマニュアル作業となっていた業務が、共通のユーザーインターフェースを通じて認識相違なく迅速に完了出来たという。

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