ロシア国内の2つの地域で、ブロックチェーンを活用した投票システムの試験運用が始まることが明らかになった。この新システムの試験運用は国営通信会社のロステレコムとブロックチェーン投票システムを利用した経験を持つモスクワ市の情報技術局とで行われる。
ロステレコムのシステムは9月13日にロシアのクールスカヤとヤロスラヴスカヤでのロシア下院補欠選挙に使用されることが決定している。
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投票者・監視員の管理方法は?
システムは、モスクワに拠点を置くウェーブズ・エンタープライズが開発したブロックチェーン「ウェーブズ」のプライベートチェーンが基盤となっている。8月19日にロステレコムとウェーブズはプレスリリースで「システムは独立した監視員を含む、認可を受けた選挙参加者すべての管理が可能になる。」とコメントしている。
しかし広報担当者のナタリア・バクレンコ氏は「ブロックチェーンのノードはロステレコムのサーバーのみに配置されており、セキュリティー上の理由から独立した監視員が自分のノードを実行する方法は存在しない。」と述べている。
これについてウェーブズのサシャ・イワノフCEOは「大規模な投票ブロックチェーン上のすべての情報は、誰もがアクセスできるスペシャルポータルサイトで公開される。また暗号化システムはデータが改ざんされないことを保証します。」とコメントした。
個人データの流出
今年7月、ロステレコムはロシア憲法改正の国民投票にブロックチェーン技術が使われた後にブロックチェーン投票の拡大を発表した。しかし、状況は簡単ではないと見られている。
ロシアのジャーナリストらは投票結果を解読し、セキュリティが脆弱なファイルから個人IDを取り出す方法を見つけたと伝えていたが、投票後、有権者の個人データがダークウェブで売られる事態となった。当局はデータは本物ではないと否定している。
システムは、セキュリティ会社カスペルスキーの協力を得て、ビットフューリーのオープンソースブロックチェーン「Exonum」上に構築されたと、CoinDeskはこれまで関係者の情報として報じているものの、カスペルスキーはそれを否定している。
2019年秋、ロシア初のブロックチェーン投票はモスクワの地方選挙で行われている。住民はイーサリアムベースのシステムを使って電子的に投票することが可能となったものの、セキュリティの脆弱性が批判される形となった。
ブロックチェーン投票はモスクワ市の情報技術局の管轄下にあり、現在DITとロステレコムによる2つの実験的な取り組みが並行して進められている。
DITはブロックチェーン投票プロジェクトに消極的になったわけではなく、今年の11月にはモスクワの2つの地区で行われる自治体の選挙にブロックチェーンベースのシステムを提供する計画となっている。
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