2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に打撃を与えている。ウイルスの影響により、株式や原油価格は暴落。Bitcoinをはじめとした暗号通貨相場も多くが下落している。しかしこうした経済や社会が不安定な状況でも、システムは止まることがないというのが分散型ネットワークの強みの1つである。主要なブロックチェーンのうち、大半はハッシュレートに影響が出ていない。
コンセンサスアルゴリズムにProof of Workを採用するブロックチェーンにおけるハッシュレートは、マイニング参加者の演算能力の総和となっている。個々の計算力が異なるため一概には言えないものの、大きく増加すればネットワークの分散性が高まったという見方ができ、51%攻撃などに対するセキュリティ向上につなげることも可能となっている。
各種暗号通貨のデータを集計するBitInfoChartsは2月から3月にかけてのハッシュレートの1日の平均値について調査を行なっている。PoW型のコンセンサスアルゴリズムを採用するBitcoin・Ethereum・Litecoin・Ethereum Classicでは、同期間にハッシュレートの下落は見られなかった。一方、Bitcoin Cash・Bitcoin SVに関しては2月中頃から3月にかけてハッシュレートが大きく低下している。
Ethereum・Litecoin・Ethereum Classicにおけるハッシュレート
Bitcoin CashとBitcoin SVのハッシュレート下降は、半減期が関係していると推移されている。4月に半減期を迎える両通貨は、2月前半にハッシュレートが一時上昇した後、下降という動きが見られている。
これに対して、5月に半減期を迎えるBitcoinは3月5日、史上最高値となるハッシュレート133EH毎秒を記録した。半減期を前にBitcoin CashのマイナーがBitcoinマイニングへ切り替えたことにより、これらのハッシュレートの変動が生じたのではないだろうかと言われている。
暗号通貨の相場がハッシュレートに影響を与えないことは、2017年末の暗号通貨バブルの崩壊などを通じて証明されてきた。今回、新型コロナウイルスという相場以外の不安材料がある中でも、分散型ネットワークの存続には大きな影響が見られないということが明らかになっている。
新型コロナウイルスの関連記事はこちらから