新経連:ブロックチェーンの商用活用20事例をまとめる


まとめ
新経済連盟は日本ブロックチェーン教会と協力し、ブロックチェーン商用利用20事例をまとめた「ブロックチェーン国家戦略に向けた提言」を作成し、IT担当大臣などに提出した。同提言内では商用事例だけでなく、ブロックチェーンを活用する意義なども説明している。

3月6日、新経済連盟(新経連)は日本ブロックチェーン協会の協力の下、「ブロックチェーン国家戦略に向けた提言(事例分析編)」を制作し、IT担当大臣ほか関係大臣宛に提示したことを公表した。同時に提出文書が開示されている。

同書は前置きでブロックチェーンを使用する趣意等を説明し、12ページ以降では国内企業での実際の20の使用例を図解と共に既存の課題とブロックチェーンによる解決策をまとめている。その内容を以下に記す。

中央銀行デジタル通貨本番運用

ソラミツがHyperledger Irohaを用い、3月末からカンボジア中銀デジタル通貨「バコン」を正式に取り入れる計画。社会全体の決済インフラコスト低減が期待される。

デジタル証券保管振替の本番運用

ソラミツのHyperledger Irohaを使用し、モスクワ・スイス・スロベニア間のブロックチェーン取引が本番運用されている。単一障害点を除去し、なりすましや不正取引を防ぐ。

個人主権型IDサービス(bPassport)

bitFlyer Blockchainが開発中であり、第三者による情報の信憑性認証や個人のデータ管理の実現を狙う。

本人確認プラットフォームのテスト運用

ソラミツがインドネシアの商業銀行BCAと共同で、テスト運用を完了した。ブロックチェーンに個人情報検証用のハッシュ値を記録し非改ざん性を保証する。

不動産賃貸プラットフォーム

bitFlyer Blockchainと住友商事が実証実験済みであり、スマホ1つで不動産賃貸契約を行える仕組みである。

不動産権利移転記録

LIFULLが検証中であり、不動産所有権を代替できないトークンに変え、その変化をブロックチェーン上に記録することで移転記録と認証を行う。

貿易金融「オープンアカウント取引」

2020年以降にTradeIXとR3主導のMarco Poloネットワークは商用化を見込み、貿易の書類手続きの無駄を省く。

貿易金融「信用状取引」

2020年4月頃にCryptoBLKが主導するContourネットワークは商用化を予定し、信用状取引を電子化する。

スマートコントラクト保険PoC

ソラミツが損保ジャパン日本興亜と取り組む契約管理、並びにあいおいニッセイと取り組むスマートコントラクトを用いた保険の一括管理を行う。

環境価値の取引システム

CTIAが開発中のひとつのプラットフォームに全業種が関与可能なソリューションである。

J-クレジットの取引システム

楽天エナジーが開発中のJ-クレジット取引システムは、J-クレジットの発生の理由を透明化し記録・監査証跡として役目を果たす。

流通トレーサビリティの使用

カレンシーポートは農林水産省採択事業として食品トレーサビリティプラットフォームを開発し、多くのサプライチェーンの相互運用性など実現する。

中国ECにおけるトレーサビリティ

楽天が行う中国越境ECの流通経を可視化する。

電子投票システム「BCVote」

オウケイウェイヴが開発した電子投票システムは、第三者の介入なしに投票プロセスを安心して行える。

音楽著作権登録管理システム「HashTune」

Gincoが開発中であり、分散的に楽曲著作権の信憑性を確保し、作家や著作権管理団体同士の権利委託業務をワークフロー化する。

分散型翻訳プラットフォーム

Tokyo Honyaku Questは、bitFlyer Blockchain・Tokyo Otaku Modeイードが共に実証実験を行ったものであり、翻訳者の権利主張ができる。

アートワークの所有権管理・流通システム

Aniqueが提供中であり、デジタルグッズの唯一性を実現し、発行所による流通のコントロール等を実現する。

未来の応援のカタチを実現する「cheerfor」

ガイアックスが開発しており、トークンを使用したサポートプラットフォームである。

社内コインシステム

インテックが開発しおり、富山第一銀行の従業員へ円ペッグのデジタル通貨を発行し、本店内売店で使用できるようにした。

ブロックチェーン向け金融・経済情報サービス

QUICKクリプタクトが開発しているもので、通貨や権利などの資産情報をブロックチェーンに記し、スマートコントラクトを使用して資産の移転や権利行使を自動化する。

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