3月6日、新経済連盟(新経連)は日本ブロックチェーン協会の協力の下、「ブロックチェーン国家戦略に向けた提言(事例分析編)」を制作し、IT担当大臣ほか関係大臣宛に提示したことを公表した。同時に提出文書が開示されている。
同書は前置きでブロックチェーンを使用する趣意等を説明し、12ページ以降では国内企業での実際の20の使用例を図解と共に既存の課題とブロックチェーンによる解決策をまとめている。その内容を以下に記す。
CONTENTS
- 1 中央銀行デジタル通貨本番運用
- 2 デジタル証券保管振替の本番運用
- 3 個人主権型IDサービス(bPassport)
- 4 本人確認プラットフォームのテスト運用
- 5 不動産賃貸プラットフォーム
- 6 不動産権利移転記録
- 7 貿易金融「オープンアカウント取引」
- 8 貿易金融「信用状取引」
- 9 スマートコントラクト保険PoC
- 10 環境価値の取引システム
- 11 J-クレジットの取引システム
- 12 流通トレーサビリティの使用
- 13 中国ECにおけるトレーサビリティ
- 14 電子投票システム「BCVote」
- 15 音楽著作権登録管理システム「HashTune」
- 16 分散型翻訳プラットフォーム
- 17 アートワークの所有権管理・流通システム
- 18 未来の応援のカタチを実現する「cheerfor」
- 19 社内コインシステム
- 20 ブロックチェーン向け金融・経済情報サービス
中央銀行デジタル通貨本番運用
ソラミツがHyperledger Irohaを用い、3月末からカンボジア中銀デジタル通貨「バコン」を正式に取り入れる計画。社会全体の決済インフラコスト低減が期待される。
デジタル証券保管振替の本番運用
ソラミツのHyperledger Irohaを使用し、モスクワ・スイス・スロベニア間のブロックチェーン取引が本番運用されている。単一障害点を除去し、なりすましや不正取引を防ぐ。
個人主権型IDサービス(bPassport)
bitFlyer Blockchainが開発中であり、第三者による情報の信憑性認証や個人のデータ管理の実現を狙う。
本人確認プラットフォームのテスト運用
ソラミツがインドネシアの商業銀行BCAと共同で、テスト運用を完了した。ブロックチェーンに個人情報検証用のハッシュ値を記録し非改ざん性を保証する。
不動産賃貸プラットフォーム
bitFlyer Blockchainと住友商事が実証実験済みであり、スマホ1つで不動産賃貸契約を行える仕組みである。
不動産権利移転記録
LIFULLが検証中であり、不動産所有権を代替できないトークンに変え、その変化をブロックチェーン上に記録することで移転記録と認証を行う。
貿易金融「オープンアカウント取引」
2020年以降にTradeIXとR3主導のMarco Poloネットワークは商用化を見込み、貿易の書類手続きの無駄を省く。
貿易金融「信用状取引」
2020年4月頃にCryptoBLKが主導するContourネットワークは商用化を予定し、信用状取引を電子化する。
スマートコントラクト保険PoC
ソラミツが損保ジャパン日本興亜と取り組む契約管理、並びにあいおいニッセイと取り組むスマートコントラクトを用いた保険の一括管理を行う。
環境価値の取引システム
CTIAが開発中のひとつのプラットフォームに全業種が関与可能なソリューションである。
J-クレジットの取引システム
楽天エナジーが開発中のJ-クレジット取引システムは、J-クレジットの発生の理由を透明化し記録・監査証跡として役目を果たす。
流通トレーサビリティの使用
カレンシーポートは農林水産省採択事業として食品トレーサビリティプラットフォームを開発し、多くのサプライチェーンの相互運用性など実現する。
中国ECにおけるトレーサビリティ
楽天が行う中国越境ECの流通経を可視化する。
電子投票システム「BCVote」
オウケイウェイヴが開発した電子投票システムは、第三者の介入なしに投票プロセスを安心して行える。
音楽著作権登録管理システム「HashTune」
Gincoが開発中であり、分散的に楽曲著作権の信憑性を確保し、作家や著作権管理団体同士の権利委託業務をワークフロー化する。
分散型翻訳プラットフォーム
Tokyo Honyaku Questは、bitFlyer Blockchain・Tokyo Otaku Mode・イードが共に実証実験を行ったものであり、翻訳者の権利主張ができる。
アートワークの所有権管理・流通システム
Aniqueが提供中であり、デジタルグッズの唯一性を実現し、発行所による流通のコントロール等を実現する。
未来の応援のカタチを実現する「cheerfor」
ガイアックスが開発しており、トークンを使用したサポートプラットフォームである。
社内コインシステム
インテックが開発しおり、富山第一銀行の従業員へ円ペッグのデジタル通貨を発行し、本店内売店で使用できるようにした。
ブロックチェーン向け金融・経済情報サービス
QUICKとクリプタクトが開発しているもので、通貨や権利などの資産情報をブロックチェーンに記し、スマートコントラクトを使用して資産の移転や権利行使を自動化する。