11月6日、スウェーデンの自動車メーカーVolvo Cars(ボルボ)はブロックチェーンで電気自動車のバッテリーに用いられるコバルトの生産・流通・製造工程を追跡するトレーサビリティの実装を発表した。バッテリーの原料であるサプライチェーンの透明性を実証し、責任を担った調達を約束している。
先月、ボルボは完全な電気自動車「XC40 Recharge」を発表し、グローバルなバッテリーサプライヤーである中国CATLと韓国LG Chemと共同で、リチウムイオン電池の製造に用いられるコバルトなどの原材料のトレーサビリティを行い、信頼度の高い原料サプライチェーンを構築する。また、バッテリーサプライヤーの2社は今後10年、XC40 Rechargeを含めた次世代のボルボとEVカーの「Polestar」にバッテリーを提供する。
トレーサビリティにおいてのブロックチェーン内のデータには、コバルトの起源、重量やサイズ、保管方法、ブロックチェーンの参加者である鉱業会社、部品メーカー、物流会社などの行動にか関わる情報が含まれている。このアプローチは、サプライチェーンの全参加者間の信頼構築に役立ち、ボルボが責任を持ってコバルト調達を保証するものである。
コバルトは、最新機器のバッテリーに必要不可欠なレアメタルの1つであり、電気自動車だけでなくスマートフォンやノートパソコンなどに使用されている。全ての人の人権保護を可能にする世界を目指し活動をするアムネスティ・インターナショナルの報告によれば、コバルトの産出量が世界の50%を占めるコンゴ民主共和国においては、労働者や子供達が過酷な労働環境の下で採掘をしていることが報じられている。また、コンゴ産コバルトの20%は手掘であり、認可の降りていない違法な鉱山や、採掘中に命を落とす人も多く重大な問題を抱えている。
2025年までに、世界で販売されている車の半数は電気自動車で構成され、残りはハイブリッド車になるとボルボは予測する。それにより、自動車メーカーが向かい合うサステナビリティの課題を解決していくために、今回のような活動を積極的に行っていくことを公言している。
ボルボは米オラクル社の連携のもと、ブロックチェーンによるコバルトの追跡から、他の主要である電池金属・タングステン・タンタル・スズ・金への拡大計画が進行中であることも公表している。
また、同日、IBMがフォード、フォルクスワーゲングループと立ち上げたResponsible Sourcing Blockchain Network(RSBN)にボルボが参加予定であることも明らかにしている。