NEC・IDB Lab・ビットコインアルゼンチン:ブロックチェーン技術活用のデジタルIDシステム開発について覚書締結


まとめ
NEC・IDB Lab・ビットコインアルゼンチン3社がブロックチェーン技術を活用したデジタルIDシステムの開発に関する覚書を締結したことが明らかとなった。本プロジェクトでは、ブエノスアイレス市の全ての住民に対してデジタルIDを提供していく。個人情報を高い安全性と信頼性を担保しながら記録し、データを自己管理できるようにしていくとのことだ。

8月24日、NECの海外現地法人であるNECアルゼンチンCivil Association DECODES (NGO Bitcoin Argentina)、および米州開発銀行グループのイノベーション研究所であるIDB Labは、ブロックチェーン技術を活用したデジタルIDの開発プロジェクトに関する覚書締結を行なった。このプロジェクトは、ブエノスアイレス市の住民に携帯可能で安全かつ透明性が高い自己証明型のデジタルIDを提供することにより、質の高い製品やサービスへのアクセスを向上し、経済的脆弱性を改善することを目指しているものである。

ブエノスアイレス市によると、住民の16.2%が生活に必要な物資を購入できる最低限の収入を示す貧困線 (poverty line) 以下の生活を送っている。こうした経済的脆弱性は、一定レベルの製品やサービスを享受するために相対的に高い対価が必要となる「poverty penalty(貧困ペナルティ)」と関連していることが明らかとなっている。

この貧困ペナルティにはいくつかの要因はあるものの、主要な要因の1つは不完全な情報にあるという。情報の欠如がこうした人々の市場への参加妨げをもたらし、経済的に平均的な階層の人々よりも高い対価を求められ、不利益を被ることにつながっている。

こうした課題に対処するために、今回のプロジェクトではブエノスアイレス市の全ての住民に対してブロックチェーン技術を活用したデジタルIDを提供することを目標としている。ブロックチェーン技術により、個人の取引履歴を高い安全性と信頼性を担保しながら記録し、かつプライバシーを守ることで、データの自己管理が可能になる。

例えば、銀行口座を持っていない人であっても、デジタルウォレットを利用することにより支払いや送金などの金融サービスを受けることが可能になるとともに、それらの取引履歴を記録することが出来るようになる。

4年間に渡るこのプロジェクトは、初めに貧困街として知られるビジャ31地区へ導入される予定だ。さらにその後、ブエノスアイレスの他の2つの貧困地区に拡大される予定となっている。

本プロジェクトの実行責任を担うNGO Bitcoin ArgentinaはIDB LabとAccenture、IOV Labsの支援を受けている。本覚書への署名により、NECアルゼンチンはメインテクノロジーパートナーとしてデジタルIDソリューションの開発に直接貢献するとともに、公的機関と民間が関わるプロジェクトの統合にも貢献し、地域への提供価値を最大化することとなっている。

NGO Bitcoin Argentinaの代表であるRodolfo Andragnes氏は「本プロジェクトの主要な目的のひとつは、ブロックチェーンが信頼性の管理や住民のコミュニティの関係に根本的な変革をもたらし、またプロセスの効率を高めることを具体的な事例として示すことだ」と述べている。

また、NECラテンアメリカのリージョナルコンピテンスセンター長のJorge Vargas氏は「NECは社会価値を提供する企業として、ブロックチェーンや生体認証などの安全・安心・効率・公平な社会を実現する革新的な技術の統合やこれらの技術を用いたアプリケーションの提供を通して、世界のソーシャルインクルージョン (社会的弱者への配慮) への取り組みに協業・支援することができることは、大変光栄なことである」と述べている。

さらに、IDB Labのプロジェクトリーダー、Erika Molina氏は「本プロジェクトは信頼性があり、利用しやすいデジタルIDを統合することで、経済的に脆弱な地域の住人が質の高い製品とサービスをより利用しやすくすることを目指している。このような方法を用いることにより、第4次産業革命において人々の社会経済的インクルージョンの向上を目指す」と発言した。

NGO Bitcoin Argentinaについて

Civil Association DECODES (NGO Bitcoin Argentina) はラテンアメリカおよびカリブ海地域のブロックチェーン・エコシステムの開発支援のパイオニアだ。ブロックチェーン技術の利用による経済および社会への影響を促進している。

2013年以降、ブロックチェーンに代表される技術の潜在的可能性の理解と発展に貢献し、州機関や銀行、民間企業へ技術の利用についてアドバイスしてきた。このNGO団体はラテンアメリカのブロックチェーンの会議で最も重要な存在とされ、国際的なブロックチェーンのエコシステムから専門家や関連する企業が参加するLaBITConfに毎年貢献している。

IDB Labについて

IDB Labはラテンアメリカおよびカリブ海地域の生活を向上させるための金融の開発と知見において、先進的な提供者であるIDBグループのイノベーション研究所である。IDB Labの目的は、資金や知識の導入や、経済・社会・環境要因によって影響を受けやすい経済的に脆弱な人々の生活を転換できるソリューションを協創するためのネットワークの活用だ。さらに、この地域のインクルージョンに向けたイノベーションを促進することも目標としている。

1993年以降IDB Labは、26のラテンアメリカおよびカリブ海地域の国々のプロジェクトに20億ドル以上の資金を提供してきた。2018年10月29日、IDB Labは多国間投資ファンド (MIF) の新しいブランドとなった。

 

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