8月16日に、世界銀行は分散型台帳の技術を用いた「ブロックチェーン債」を発行し、5000万豪ドル(約36億円)を調達したことを明らかにした。
このブロックチェーン債「bond-i(ボンダイ)」(Blockchain Operated New Debt Instrument)は2020年8月に支払期限を迎える。オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)/ RBCキャピタルマーケット(RBC)/ TD証券(TD)が販売を委任された。
世界銀行は2018年8月23日、ブロックチェーン技術を活用した世界初の債券「ボンダイ」を発行し、機関投資家から1億1000万豪ドルを調達した。今回のブロックチェーン債発行は2度目になる。
「投資家とパートナーからの継続的で強力なサポートを嬉しく思います。世界銀行の資本市場での革新と経験は、生産性を高めるためのデジタル化の進展における加盟国との協業や、持続可能な開発目標の取り組みの進展の上で重要な鍵となります」と世界銀行の資金調達部門トップであるアンドレア・ドーレ(Andrea Dore)氏はコメントしている。
RBCの債券資本マーケットマネージングディレクターであるジグミ・シンサー(Jigme Shingsar)氏は「ブロックチェーン技術はまだアーリーステージにありますが、市場の透明性と効率性を飛躍的に向上させて金融サービスを変革する可能性を秘めています」と述べている。
世界銀行財務局の有馬良行駐日代表は、ブロックチェーン債の既存債券に対する優位性について、「既存の債券では、投資家の債券保有についての情報は中央清算機関だけで集中管理されており、多くの仲介業者の役割が重要となっていた。そのため、取引から決済までに一定の時間を要することになる。しかし、ボンダイでは仲介業者を介さないことにより、時差を極小化することができる」と説明した。
加えて、ブロックチェーン技術を金融に活用する環境が整っていることや、世界銀行がオーストラリア市場で継続的に起債してきたことから、債券発行に豪州市場を選んだと述べた。
有馬氏によると、CBAは2017年1月にクイーンズランド州と協力してブロックチェーン技術を使った州債の取組みを成功させるなど、ブロックチェーン技術の資本市場への応用に豊富な知識や経験を持っている。
世界銀行は2017年6月にブロックチェーン・イノベーション・ラボを設立し、土地管理・サプライチェーン管理・保健・教育・クロスボーダー決済・温室効果ガス排出権取引などにブロックチェーンなどの技術を活用するため研究を進めている。債券発行もその研究成果の1つだ。