「新卒就職人気ランキング」:上位企業のブロックチェーンへの取り組みが明らかに


まとめ
毎年発表されている「就職人気ランキング」、4年制大学卒業の新卒向け、文系総合ランキングに絞って、上位企業のブロックチェーンへの取り組みについて言及していく。以下では、上位会社ほぼ全てがブロックチェーン技術に対して積極的な姿勢を見せており、それらの具体的な内容に迫っていきたい。

毎年発表されている「就職人気ランキング」。複数の企業が実施しており、ランキングにより少しずつの誤差はあるものの、おおむね同じ企業が上位に名を連ねていることに変わりはない。文系、理系、4年生、大学院などそれぞれのカテゴリー別に発表されているが、今回は4年制大学卒業の新卒向け、文系と理系の総合ランキングに絞って、上位企業が行うブロックチェーンへの取り組みを調べた。

今回取り上げるのは、マイナビと日本経済新聞が共同で調査、公開しているランキングだ。このうちの文系総合にフォーカスする。実際には100社まで発表されているが、今回はそのうち10位までを表記し、上位5社の取り組みを確認していく。

第1位 JTBグループ
第2位 全日本空輸(ANA)
第3位 東京海上日動火災保険
第4位 ソニー
第5位 日本航空(JAL)
第6位 味の素 
第7位 伊藤忠商事
第8位    コナミグループ (コナミホールディングス)
第9位    ソニーミュージックグループ
第10位  アサヒビール (アサヒビールホールディングス)

文系総合の1位はJTBだった。このほか全日本空輸や日本航空など旅行会社が人気であることが分かる。電機メーカーはソニーの1社のみだ。金融系では東京海上日動保険のみで、証券・銀行はなく、商社も伊藤忠商事だけであった。

100位までを見てみると、第16位に三菱UFJ銀行、第23位に三井住友銀行、第47位にみずほフィナンシャルグループ、第74位にりそなグループがランクインしている。証券では第19位に野村證券、第53位にSMBC日興証券、第93位に大和証券グループがランキング入りをしている。商社では三菱商事が第61位だが、三井物産、住友商事は入っていなかった。

第1位 JTB : デジタル分野に注力する国内旅行業界の雄

JTBといえばいわずと知れた国際最大手の旅行業者であるが、デジタルの活用にも注力している。アクセラレータプログラムを実施し、CVCを組成してスタートアップに投資するなど、既存の旅行業者・代理店イメージの型にはまらないような活動を積極的に行なっている。

ブロックチェーンにおいては、グループのR&D部門にあたるJTBビジネスイノベーターズが公式サイトで、ブロックチェーン活用にも取り組んでいることを明らかにしている。

第2位 ANA : 出資の合弁会社がトークンの発行も行う

ANAグループでは、全日空商事がベリトランスとともに、法人向け決済ソリューション事業の合弁会社・ANA Digital Gateを設立している。ベリトランスの親会社であるデジタルガレージ(DG)などが2016 年7月に設立した研究開発組織DG Labと連携しながら、AIやブロックチェーンなどを組み合わせた決済サービスの開発に尽力している。
またANAホールディングスが、ACDホールディングスとともに越境ECのビジネスサポートを展開する合弁企業ACDを設立した。またその中で、ブロックチェーンを活用してトークンを発行、ICOを行うことも発表していた。さらにACDの代表取締役である佐藤貴夫氏(弁護士)は、ブロックチェーン協議会のメンバーでもある。

第3位 東京海上日動火災保険 : 保険金支払い業務の簡略化、貨物保険の保険金請求に応用

東京海上日動は、福岡県・飯塚市(ふくおかけん・いいづかし)エリアにおいて保険金支払業務の簡略化・迅速化目指し、医療情報連携に活用する実証実験を実施した。時期は2017年1月~10月で行われた。実験では、保険金請求に関わる医療情報をブロックチェーンを通して医療機関に要求する。さらに米国Planetwayの「avenue-cross」を通じてデータを受け取ることで、医療情報に対するセキュリティを確保しながら、保険金支払業務の迅速化・簡略化が実現できるのかを検証した。なお「avenue-cross」はエストニアの国民番号制度を支える高いセキュリティ技術を適用したデータ連携基盤となっている。

実験は、同市の飯塚病院、福岡地域戦略推進協議会などの協力の元で行われた。結果として、将来的に保険金支払業務の迅速化・簡略化が実現できる可能性を確認した。具体的には「保険金請求から保険金支払までの期間を1カ月程短縮することが期待できる」ということだ。

上記で記載したものだけでなく、NTTデータと連携し外航貨物海上保険における保険金請求へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験を終えている。実験では、貨物の損傷写真や事故報告書、商業送り状などの実際の保険金の支払い業務で利用したデータをブロックチェーン上に流通。欧米アジアの計8拠点の海外代理店・鑑定会社へ共有し、保険金の支払いプロセスに利用できるかを検証した。実施エリアはドイツ、オランダ、アメリカ、チリ、中国、台湾、韓国、タイだ。

第4位 ソニー : コンテンツの権利処理・教育分野での活用

グループ会社のソニー・ミュージックエンタテインメントは、ソニー・グローバルエデュケーションと共同でデジタルコンテンツ権利の情報処理を行うためのシステム開発を行なっている。著作物に関わる権利情報処理に特化しており、電子データの生成日時と生成者を参加者間で共有・証明が可能になることが期待されている。用途としては、デジタル教科書などの教育コンテンツ、映画や音楽、VRコンテンツ、電子書籍などのデジタルコンテンツの権利情報処理の分野で活用されるだろう。

このほか、ソニーとソニー・グローバルエデュケーションの両社は、複数の教育機関のデータを管理し、信頼性のある学習データやデジタル成績証明書等の登録・参照が可能なシステムを開発している。

またソニー・グローバルエデュケーションでは富士通富士通総研ヒューマンアカデミーと連携し、講座受講履歴や成績データ管理でブロックチェーン技術の有用性を確認する実証実験を実施している。対象となるのは、富士通のデジタルラーニングプラットフォーム上で日本語検定資格取得を支援する講座『日本語検定対策講座(にほんごdojo)』の留学希望学生だ。学習ログや成績情報など受講者ごとの学習データを証明書としてブロックチェーン上へ改ざん不可能なデータとして保存・管理するものである。

なおソニーは米国でもブロックチェーンに関連する特許の出願を行なっている。米国特許商標庁に出願した2件は、ブロックチェーンアプリケーションを利用した2つのハードウェアの特許であった。

内容としては「デバイスとシステム」と「分散型台帳の保守のための電子ノードと方法」である。前者は、「分散型台帳にアクセスするための装置と分散元帳を維持するためのシステム」に関する内容だ。後者は、「分散型台帳を維持するための電子装置」を提供し、分散型台帳に追加されるブロックのマイニングプロセスを実行するよう構成された回路に関するものである。

第5位 JAL : SBIホールディングスとの会社設立で新たな収益源の獲得

JALは公式的にはブロックチェーン関連の事業、プロジェクトを公開していない。しかし2017-2020年度中期経営計画でも、新たな収益源の確保に力を入れる方針を明確にしていた。さらにその中でブロックチェーン関連の事業に乗り出す可能性は大いに見込めている。

2017年、SBIホールディングスと共同持ち株会社「JAL SBIフィンテック」を設立した。事業内容としては、国際ブランド・プリペイドカード事業への参入と、ネオバンクとして新たな金融商品・サービスの提供を掲げている。JALのマイルサービス「JALマイレージバンク」の会員向けに、AIを活用した資産運用サポートを提供したり、SBIが得意とするブロックチェーン技術を航空分野で活用する方法を模索するとみられている。

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