米国時間8月5日、IBMとブロックチェーンのコンサルタント企業であるChainyardは、サプライヤーのクオリフィケーションやオンボーディング、バリデーション、ライフサイクル情報管理の向上を目的とする新たなブロックチェーンネットワーク「Trust Your Supplier」(TYS)を発表した。
IBMによれば、改ざん不能な監査証跡と非中央集権的な性質というブロックチェーンの特徴を利用することによって、TYSはサプライチェーン内の手作業の排除と、誤りや不正といったリスクの削減を実現するよう設計されたということだ。
同社によると、TYSはブロックチェーンネットワーク上においてサプライヤーのアイデンティティーを証明するデジタルパスポートを作成する。さらにサプライヤーがネットワーク上で承認済みのバイヤーと情報を共有できるようにするというのだ。
IBMは、ブロックチェーンによって承認ベースのデータ共有ネットワークを構築することで、新たなビジネス機会を生み出しつつ、新しいサプライヤーのクオリフィケーションやバリデーション、管理にまつわる時間やコストの削減に貢献すると述べた。
TYS創立時の参加企業にはAnheuser-Busch InBevやCisco Systems、Lenovo、GlaxoSmithKline、Nokia、Vodafone、Schneider Electricがある。
一方、企業の運営状況や財務状況を分析、評価する、Dun & Bradstreet(D&B)やEcovadis、RapidRatingsといったサードパーティーのバリデーターも同ネットワーク上で直接、外部検証や監査機能を提供することが明らかになっている。
Lenovoのデータセンターグループで最高サプライチェーン責任者を務めるRenee Ure氏は、「企業が未来のサプライヤーネットワークに参加し、管理していく方法を、根本から変革する力を、ブロックチェーンは持っている」としている。
さらに「TYSを通して、サプライヤーとバイヤーの双方が、複雑さやコストの低減とともに、スピードの向上という、ブロックチェーンがもたらすプロキュアメント関連のメリットを享受できるようになる」と述べている。
IBMは世界で1万8,500以上のサプライヤーを抱えており、自社でもTYSの使用を始める計画だと述べた。同社によれば、まず数カ月をかけ、北米における4,000のサプライヤーを参加させるということだ。
現在のところ、TYSを利用できるのは既存の参加者のみとなっているが、2019年中にIBMは商用利用を可能にする計画を明らかにしている。
TYSは、「IBM Cloud」がホストする「IBM Blockchain Platform」上に構築されている。また、IBM Blockchain Platformは、The Linux Foundationがホストするオープンソースのブロックチェーンプロジェクトである「Hyperledger Fabric」をベースにしている。