創業100年、野村の“再定義”決定:ブロックチェーン、技術と人で未来の顧客を確保か


まとめ
昨今の不祥事に揺れる野村HDは経営の柱を見つめなおすことが急務だ。「お金とは何か」、「金融とは何か」を議論することが社内で頻繁に起きている。世界の金融界は大きな転換点を迎えている。その上で、「これから野村に何ができるのか?」野村が持つものを再度棚卸しする中で見出した「ブロックチェーン」とはどのようなものなのかについて言及していく。

1925年創業からもうすぐ100年を迎えようとしている野村ホールディングス(HD)は、業績の悪化と企業統治の不信を払拭しようとする一方、野村は金融界に押し寄せる新たなテクノロジーを取り入れることで、金融機関としての再定義を進めている。

野村はブロックチェーンなどのテクノロジーに対する取り組みを強化しながら、投資にも力を注いでいる。

「お客様の利便性を向上させるために必要となる技術は何かについて考えている。ブロックチェーンで言えば、その技術がどこまで使えるのかは先の話だが、お客様に必要な技術であれば、正しく取得しないといけないだろう。さらに活用しなければいけないと思っている」と池田氏は語気を強めた。

野村は野村総合研究所(NRI)と2015年から、有価証券の情報管理にブロックチェーンを利用するための検証を続けてきたが、いよいよ開発フェーズに移る運びとなってきた。2020年、夏頃には社債を対象に取引をブロックチェーンで管理する取り組みをスタートさせる予定が決まっている。
ブロックチェーンを活用すれば、社債の発行条件や取引履歴などを低いコストで記録することが可能になる。

暗号資産領域で注目される野村のもう一つの取り組みが、「Komainu(コマイヌ)」というプロジェクトである。

昨年5月、野村は暗号資産のハードウォレットではその業界を牽引するフランスのLedgerと、イギリスのグローバル・アドバイザーズと共にKomainuを始めることを公にした。デジタル化された資産の管理(カストディ)サービスの研究開発である。

新たなアセットクラスとして暗号資産への投資機会や、トレーディング機会を模索する機関投資家は、海外を中心に増加傾向となっている。それに応じて、デジタル化・暗号化された資産を安全に管理するニーズは高まっているのだ。

「コマイヌを始めてからというもの、150以上の機関投資家から連絡を受けている。カストディの面で、機関投資家が直面する課題を解決していきたい」と、池田氏と共に未来共創カンパニーに在籍する執行役員、八木忠三郎氏は述べた。

加速させる投資活動では、野村はブロックチェーンを基盤とするオンライン決済システムを手がけるOmiseホールディングスに出資を行なったばかりだ。

Omiseホールディングスはタイ・バンコクに拠点を置きながら、決済サービスやイーサリアムを基盤とするブロックチェーンの「OmiseGO」や、法定通貨やデジタル資産の交換プラットフォーム「Go.exchange」の開発を行なっている。

ブロックチェーンが金融界で広く使われるようになることで、不動産や株式などの取引内容を安全で速く処理するスマートコントラクトが重要な役割を果たすだろう。さらに、監査によるセキュリティー保証はさらにその重要度を増すのだ。

1月、野村は危機に直面した。なぜなら2018年4月〜12月期決算が1,000億円を上回る最終赤字となったからだ。これは2008年の世界金融危機以来の大きさである。

5月には、東京証券取引所の上場基準の見直しに関連した情報漏えいがあったとする社内調査の結果が明らかになったのだ。

これは国内最大の証券会社を揺るがす令和元年の上半期だった。その一方で、野村が描き始めた未来の野村の姿を垣間見られた6カ月でもあった。しかし、JPモルガン・チェースを筆頭に米金融大手が、テクノロジーを駆使した新たな金融サービスの開発を進めることで、大手テクノロジー企業やフィンテック・ベンチャーは次から次へと金融への参入を続けている。

「次の100年の話をしても仕方ない。しかし、根幹にあるものは、変わらないと思う。世の中の資本市場、お金の循環のようなものをきちっとサポートし、その循環を促していくというのが野村の役割ではないか。お客様と対面における人(社員)の価値と技術を融合させて、一体となったサービスを作ることでお客様の満足度を高めていくことができると思う」と池田氏は述べた。

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