米上院議員:金融包摂を生み出すのにはブロックチェーンでは不十分


まとめ
米上院銀行委員会によって開かれた、公聴会にて「ブロックチェーン」について触れられた。議論の中心となったのは、世界がブロックチェーンに対して過度な期待をしている点。同技術は様々な課題を解決するツールの一つとしてなり得るが、「この技術に何ができ、何ができないのか」を理解することが重要とし、規制面での慎重な姿勢を示すとともに警鐘を鳴らしている。

ブロックチェーンは革新的技術であるが、銀行の金融サービスを十分に受けられない人や銀行口座を持てない人に金融サービスをもたらすのには十分ではない。

少なくとも、このような状況理解が、アメリカの現地時間2019年7月30日に米上院銀行委員会によって開かれた暗号資産規制に関する公聴会にはあった。公聴会の中で、議員や証人からは、ブロックチェーン技術がファイナンシャル・インクルージョンつまり金融包摂を促すという、しばしば耳にする主張を精査した。

公聴会の中で、民主党のハワイ州のブライアン・シャッツ(Brian Schatz)上院議員は、米仮想通貨決済企業サークルのCEO、ジェレミー・アレア(Jeremy Allaire)氏にこの点について質問した。

「現在、国民の81%しかスマートフォンを持たない社会において、これら製品の使用が民主化に少しでも近付いていると本当に考えているのですか?」

加えてシャッツ議員は「おそらくブロックチェーンは幅広く利用されるツールになるだろうが、これは、金融から除外されている層に銀行サービスをもたらすという課題を解決するというわけではない」と述べた。そして、アレア氏に対して次のように語った。

「ブロックチェーンが秘めている可能性を疑っているわけではありません。ただ、低所得者層に銀行サービスをもたらすとは考えられませんし、この点について、あなたはここにいる人間を誰一人として説得できていないと思います」

アレアー氏はファイナンシャル・インクルージョンが抱える問題が複雑であることに次のように同意した。「これらは人間の問題であり、真の政策問題でもあります。金融システムにおいて対処しなければならないリスクは、(中略)大いに存在します。実際、ブロックチェーンはこれらの問題を改善するための手段を提供してくれますが、特効薬があるわけではありません」

銀行口座を持たない個人はアクセスする場所を必要としている。ブロックチェーンもアクセスの提供に役立つテクノロジーの1つではあるものの、「それよりも簡単な方法が多く存在している」と、バラダラン氏は意見した。

「低所得、および金融サービスを十分に受けられない人々の問題は、彼らが既存のテクノロジーに満足していないということではありません。問題は、銀行がそういった顧客にサービスを提供することに対する関心を失ってしまっているために、彼らが(カードを使う)場のない銀行砂漠に暮らしているということです」と、同氏は述べる。

シャッツ氏は、ブロックチェーン技術のことを役立たずのテクノロジーだと思っている訳ではないことを明確にしたが、同氏の見解では、普及のためには、いくつかの段階が途中に必要で、それらの取り組みは行われていないと述べている。

「ブロックチェーン技術の重要性や、後20年も経てば、我々が皆それを使っているであろうことを疑っている訳ではありません。しかし、それは『あっ、そう言えば、ブロックチェーンがすべての社会悪を解決してくれますよ』という主張とは異なります」と、シャッツ氏は述べている。

そして、次のように締めくくった。

「ここで重要なのは、この技術に何ができ、何ができないのかを理解することです。なぜなら、ブロックチェーンのために規制の枠組みを設立するとしたら、それが解決してくれる全ての問題に浮かれずに、ブロックチェーンが作り出すかもしれない問題と、ブロックチェーンに秘められた可能性をはっきりと認識する必要があるからです」

これに対して「ピア・ツー・ピア(P2P)技術における最新のブレークスルー」であるブロックチェーンが、現状の金融システムを改善するために必要となるだろう、とブルックス氏は示唆した。

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