韓国、釜山をブロックチェーン特区に指定:文在寅大統領「国の生き残りかけた規制緩和」と発言


まとめ
韓国政府は釜山(プサン)広域市を規制緩和特区に指定し、観光や金融、流通、治安などの分野でブロックチェーン技術の社会実装に取り組む方針を明らかにした。各業界のトップ企業がこの地に拠点を設け、ブロックチェーンの技術開発を進めている。

米中貿易摩擦の影響や、日本政府による半導体材料などの輸出管理厳格化で、経済状況の悪化が伝えられる韓国だが、一方では「逆転打」につながりそうな動きも見えつつある。

7月24日、韓国政府は同国第2の都市である釜山(プサン)広域市を規制緩和特区に指定した。さらに観光や金融、流通、治安などの分野でブロックチェーン技術の社会実装に取り組む方針を明らかにしたのだ。

プレスリリースの中で文在寅大統領はこう述べている。

「工業化の時代における規制は、どんな選択をするかの問題にすぎなかったものが、今では第四次産業革命において、規制(緩和)は国家の生き残りをかけた死活問題となっている」

複数の韓国メディアの報道によれば、規制緩和特区の活用に向けて、釜山に拠点を置く以下のような企業の参加が決まっている。

  • BNK釜山銀行(BNKフィナンシャルグループ)
    金融分野の公式パートナーとして、「釜山電子バウチャー(BDV)」の発行や管理運営を担当している。プリペイド式の電子決済手段のバウチャーは、最近話題になったFacebookの暗号通貨リブラなどと同様のステーブル(安定的)コインの一種である。さらに法定通貨(韓国ウォン)と1対1で交換できるのが大きな利点である。釜山銀行はバウチャーの他の通貨との交換業務はもちろん行政区域の統合、行政による予算執行などへのブロックチェーン技術の導入も担当することになっている。

  • ヒュンダイ・ペイ(現代自動車グループ)
    韓国自動車大手現代グループの電子決済子会社であるヒュンダイ・ペイは、スイスで新規暗号通貨公開(ICO)を行って話題を呼んだヒュンダイコイン(Hdac、エイチダック)を発行するHdacテクノロジーと協働関係にある。また同社のブロックチェーン技術を活用したスマートシティ化推進について、両社と釜山は特区指定以前(2019年2月)に協力合意を交わしている。
    規制緩和特区では、上記のスマートシティ化だけでなく、旅行客向けに交通機関や宿泊・飲食施設などでの割引サービスを提供するコリア・ツアーパスと連携し、ブロックチェーン技術を活用した新たな観光サービスを展開する運びとなる。

  • コインプラグ
    韓国で暗号通貨取引所を運営するのがコインプラグである。ブロックチェーン技術を活用して、ソウル交通公社(ソウルメトロ)と観光プラットフォームの構築を進めたり、韓国郵政事業本部(コリアポスト)と郵便サービスの決済手段を開発したり、行政機関との先進的な取り組みを積極的に行っている。
    規制緩和特区では、市民が交通事故や自然災害の現場で撮影した動画を投稿するアプリの開発を担当する予定だ。関係当局が円滑に動画を確認し、対応スピードを向上させる仕組みを生み出すためである。投稿動画の信頼性の担保などにブロックチェーン技術を活用するとみられている。

  • シグマチェーン
    法人向けのブロックチェーン実装サービスなどを手がける。同社のサービスを利用する100社以上の企業をネットワーク化し、さまざまな分野の企業が発行するコインやトークンを交換・売買できるマーケットを運営するサービスも行なっている。
    規制緩和特区では、世界5位の取扱量を誇る港湾都市(こうわんとし)・釜山の経済発展のカギを握るであろう海上物流システムに、ブロックチェーンを実装する役割を担うだろう。
    2019年1月から釜山市はすでに、ブロックチェーン技術を活用した貨物追跡など、港湾業務を効率化するための実証実験に取り組んでいることが明らかになっている。

日本の輸出規制措置により悪化する経済状況、北朝鮮問題や元徴用工問題への曖昧な対応を指摘されている文政権の指導力不足など、日本では何かと「韓国の危機」的な報道が目立つが、「戦後最長の景気拡大」のぬるま湯につかったままで、ブロックチェーンのようなテクノロジーの活用促進に本腰を入れられない日本こそ、危機感をもつべきではないのだろうか。

 

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