7月23日、ブロックチェーン関連事業を手掛ける仮想通貨交換業のbitFlyer子会社である、bitFlyer Blockchainと住友商事は、ブロックチェーンを活用した賃貸住宅の契約プラットフォームの共同開発を発表するとともに、賃貸契約の完全電子化を目指す意向を示した。
bitFlyer Blockchainが開発する法人向けブロックチェーン「miyabi」に、契約者情報や契約状況などを記録し、ブロックチェーンの高い改ざん耐性の下、契約の自動化や可視化を測るのがメリットである。
賃貸物件を借りるユーザーは、スマートフォン内のアプリから物件の内見予約、本人確認書類のアップロードから契約締結まで、各種手続きをするだけで賃貸契約が完了するというシステムである。事務手続きや日程調整などの効率化につながることは貸主や仲介会社にとっても、良い影響を与えることが予想されている。
bitFlyer Blockchainの加納裕三社長は、「今の賃貸契約は、借り主が申し込みをしてから契約が完了するまで2週間程度を要する。ブロックチェーンとスマホを使うことによりこのプロセスを簡略化したい。」と述べた。
展望として、完全電子化を見据えているが、法律上紙の書類を必要とするプロセスもあるため、まずは賃貸借契約書と重要事項説明書の2点を電子書類化し、ブロックチェーンへの記録を行う。2019年後半にプロトタイプの開発と検証を完了し、20年中に一般ユーザーへ提供する見込みである。
住友商事の中本昭人部長(不動産投資開発事業部)は、「IT化が一番遅れている業界は不動産である。今回の共同開発でかなりIT化が進むのではと期待を寄せている」とプロジェクトに前向きな反応を示した。
「賃貸住宅のマーケットとしては、賃貸仲介件数は1年間で400万件。年間4000億円程度の売上が初期の賃貸契約の仲介費用だけでもある。(共同開発によりIT化を進めることで)借り主や貸主に評価してもらい、シェアが伸びればそれだけ収益が増えるだろう」(中本部長)
bitFlyer Blockchainとの業務連携はレベニューシェア形式で行われる。加納社長は、「システムの提供や、SIerの派遣によってブロックチェーンサービスを作るようなことは一切考えていない」と話し、ブロックチェーン事業をジョイントビジネス(共同事業)として進めていくことを強調した。