【イベントレポート】2019/6/28(金)開催 業界別ブロックチェーンセミナー「物流業界×ブロックチェーン」


イベント概要

今回は、6月28日(金)に株式会社BINARYSTARで開催された業界別ブロックチェーンセミナー「物流業界×ブロックチェーン」の様子をお届けしていく。

今回のイベントを一目見ようと、各業界を代表する企業の方々総勢約100名ほどが参加した。
イベントの目玉は、世界各国から集結したブロックチェーンプロジェクトによる最新テクノロジー事情の紹介だ。
今回のイベントを通して、「世界のテクノロジー進歩のスピード感」や、「世界と日本国内の温度差の違いを改めて痛感する契機となった」との声が多数寄せられた。

当イベントは以下のアジェンダで進行された。

アジェンダ
1:業界別ブロックチェーンセミナーの概要説明
登壇者:岡本氏(株式会社BINARYSTAR)

2:現在の物流課題とブロックチェーンへの期待
登壇者:北條氏(日本ロジスティックスシステム協会JILS総合研究所ロジスティックス環境推進センターセンター長)

3:自動車メーカーのサプライチェーン改革
登壇者:Andre氏(Infinite Foundry CEO/ポルトガル)

4:AI×ブロックチェーンで導く新時代の在庫管理
登壇者:Alex氏(OSA decentralized CEO/ロシア)

5:ブロックチェーンで実現する物流トレーサビリティ
登壇者:Frank氏(株式会社INKBATOR プロジェクトマネージャー/日本・中国)

6:ブロックチェーン時代の新しい広告のあり方
登壇者:加藤氏(株式会社博報堂)

7:懇親会・個社別相談会

プロジェクトチーム紹介

公益社団法人日本ロジスティックスシステム協会


同協会によるテーマは、「現在の物流課題とブロックチェーンへの期待」
世界のブロックチェーン動向と日本の現状にフォーカスしてプレゼンが行われた。
日本は、高度経済成長期から「ものづくり大国」として世界へ発信し続けてきたが、いまやその面影は存在感を薄め、米GAFAや中国アリババ、テンセントなどによる近年のIT業界の成長幅は他国を追随できないほどになっている。

さらに、物流業界に言及すれば、トラック運転手の人材不足やテクノロジー不足による各工場、物流拠点の非効率運営が浮き彫りとなって経営状況そのものを圧迫している現状も述べられた。
それらが原因で物流コスト増加に繋がっている。
そのような現状、課題において打開策となるのが「ブロックチェーン」だという。

当然、欧米を中心に爆発的にテクノロジーが進歩・拡大しており、ブロックチェーンの導入も加速している。
日本企業は今後、変遷する時代に対応するためテクノロジーの導入は必要不可欠であると結論付けた。

Infinite Foundry(ポルトガル)


Infinite Foundry(以下、IF)は産業用3Dデジタルプラットフォームを提供する企業だ。同社独自のAR、VR、ブロックチェーン技術などのテクノロジーの組み合わせにより、世界各地にある工場のモニタリングや業務効率化による大幅なコストカットに寄与する。
IFの特徴は、工場を3Dレーザースキャンで建物構造を把握するマッピング技術だ。
googleストリートビューをイメージするとわかりやすいかもしれない。


この技術を駆使して、工場内の様子を世界中どこにいても現地の様子を把握できるのだ。またこれを応用して、製品の生産ラインにも採用する。一つ一つスキャンされた製品に紛れ込んでいる欠陥品のあぶり出しにも効果的だ。品質向上につなげるとともに工場の建物や機械の異常反応にも即座に認識し、知らせることができる。

このようなモニタリング機能にブロックチェーン技術を掛け合わせて、メーカーとサプライヤー間という当事者間でのデータ共有を行なえるようになる。もちろん、アクセス権限が設定されているため誰でも閲覧できるというものではない。

また、取引においてもスマートコントラクトによって透明化された流通経路で品質向上、業務効率性を格段に上げるものとなっている。
なおこの技術は、独フォルクスワーゲンやメルセデスベンツが採用しており、世界中の工場で稼働している。

OSA decentralized(ロシア)

OSA decentralized(以下、OSADC)は、AI×ブロックチェーンを駆使して、リテール部門を中心とした在庫管理の効率化を実現させるプロジェクトだ。今回のイベントでは急遽、来日が出来なくなり、ビデオ中継でプレゼンを実施した。

当プロジェクトの特徴は、スーパー等の店舗にある商品の在庫管理を徹底的にコントロールし、メーカーへの発注数と廃棄見込みなどを最適化することでコストダウンを実現しようというものである。
具体的には、リアルタイムで顧客のビッグデータを収集し、AIによる予測分析、ブロックチェーンによる取引履歴管理や商品のトレーサビリティを透明化させる。
これにより、「購買機会の損失防止」・「在庫切れの減少」・「人件費削減」・「在庫切れの問題識別」などの運営効率を求める。

なお、OSADCはすでに、「コカ・コーラ」や「Nestlé」、「Danone」といった大企業と取引を行なっており、同社の技術が採用されている。

株式会社INKBATOR(中国法人:ジッグラト)

株式会社INKBATORは日本と中国をメイン拠点とした企業である。同社はHyperledger fabricの公式メンバーに選出されており、多岐にわたる業界で同社オリジナル開発のブロックチェーン技術が採用されている。


今回、参加者の注目を集めていたのが中国の「天水ブロックチェーンりんご」のプロジェクトだ。
リンゴの表面にQRコードを日焼けさせ、消費者は所有のスマートフォンを使って手軽にリンゴの諸情報を確認することができる仕組みとなっている。


同社が独自開発したコンソーシアムチェーン「Z-ledger」を使い、リンゴの種まきから梱包に至るまで全生産過程情報を記録するというものだ。


この特徴的なリンゴはメディアや口コミで中国国内で話題となり、リピーターが増加し売り上げ向上に寄与したとのことだ。
なお、本プロジェクトは来シーズンもさらに多くの農家、農地が当案件に参画する予定であり、また他の農産物や畜産物へも同システムを導入中である。

株式会社博報堂

同社による「広告業界のブロックチェーン活用」と「情報の価値化」をテーマにプレゼンを行なった。
「ブロックチェーン」とは、情報を共有するだけでなく、価値を創造するものと定義づけをした上で、5年後の未来を見据えたブロックチェーン領域でどのような事業展開をしていくかについて具体的なお話をいただいた。

おわりに


これまで上述してきたように、今回は「物流業界×ブロックチェーン」をテーマに、当業界で活躍する各企業にご登壇いただいた。

当イベントをきっかけに、日本国内の企業が「ブロックチェーンの可能性」を認識するきっかけとなることを切に願うとともに、次回以降開催予定の「〇〇業界×ブロックチェーン」のセミナーにもぜひご期待いただきたい。

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