ガートナーの調査結果、ブロックチェーンは従来のデータベースの機能を網羅するわけではない


まとめ
ガートナージャパンは2019年6月25日、ブロックチェーンを活用したITプロジェクトを成功させる上での注意点を7つ発表した。総括として、ほとんどのブロックチェーン活用事例はデータを記録するためにしか使っていないので、ブロックチェーンの特性を活かしたプロジェクトへと移行すべきだとしている。

米Gartnerが発表した、2019年CIOアジェンダ・サーベイ(3000人を超えるCIOを対象に実施した調査)の結果によると、ブロックチェーンを導入済み、または近々導入予定であると回答したCIOの割合は11%だけだった。ブロックチェーンが高い関心を集めている一方で、こうしたハイプと市場の実態は依然としてかけ離れている。

そこでGartnerは、ブロックチェーンを活用したITプロジェクトにありがちな失敗を7つリストアップした。さらに、失敗しないための回避策を提示している。

失敗

1ブロックチェーン・テクノロジを誤解または誤用する

(Misunderstanding or Misusing Blockchain Technology)

2ブロックチェーン・テクノロジを、本番環境向けに準備が整っているものと 見なす

(Assuming the Technology Is Ready for Production Use)

3プロトコルとビジネス・ソリューションを混同する

(Confusing a Protocol With a Business Solution)

4ブロックチェーンをデータベースやストレージのメカニズムとして単純に捉える

(Viewing Blockchain Purely as a Database or Storage Mechanism)

5相互運用性の標準が存在していると考える

(Assuming That Interoperability Standards Exist)

6スマート・コントラクトの課題は解決済みであると見なす

(Assuming Smart Contract Technology Is a Solved Problem)

7ガバナンスの問題を見過ごす

Ignoring Governance Issues)

落とし穴の1つは、企業のプロジェクトが、ブロックチェーンである必然性がないものになってしまうことだ。CIOは、非中央集権型の合意形成、トークン化、スマートコントラクトなど、ブロックチェーンの特性をよく理解し、その技術を活用したユースケースを明確にすることによって、ブロックチェーンの特徴を生かせるプロジェクトへと移行することができる。

現在、ブロックチェーンプロジェクトのほとんどが、ブロックチェーンの、DLTという特徴のみに焦点を当てている。そして、データを記録するためだけにブロックチェーン技術を使っている。その他、ブロックチェーンをデータベースやストレージのメカニズムとして捉えられてしまうことがあるという。Gartnerは、「ブロックチェーンプロジェクトのデータ管理に関する要件は、ブロックチェーンの機能や特性と照らし合わせる必要がある。場合によっては、従来のデータベースを選択する方が適していることもある」としている。

ブロックチェーン技術は従来のデータベースに対する優位性として、変更不可能で信頼できる記録を保持するように設計することによって、信頼性が確かではない参加者による自由なやりとりを可能にする。一方で、ブロックチェーンが備えていない複数の機能(作成、読み取り、更新、削除)を従来のデータベースは備えている。ブロックチェーン技術が提供する機能は、作成と読み取りだけである。

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