【伊藤健次コラム】広告業界におけるブロックチェーンの可能性


広告×ブロックチェーンがもたらす未来とは!?

こんにちは、コインオタクの伊藤健次です。
日本国内でもブロックチェーン技術の認知度はここ最近、飛躍的に向上しておりますが、「具体的に何ができるのか?」まではまだ浸透しておりません。
そこで、今回は具体的な「産業×ブロックチェーン」と題して、ブロックチェーン技術がもたらす未来を解説していきたいと思います。

第一弾は広告業界×ブロックチェーンです。
広告業界における課題とブロックチェーン技術による解決の可能性を見てみましょう。

①アドベリフィケーション:Ad Verification

これは広告掲載される媒体の品質を管理しようという取り組みです。
アドテック技術が進み、今では広告媒体がネットワーク化されており、機械的に広告掲載される媒体が選ばれます。
掲載されているサイトをすべて管理することは非現実的で、大手企業の広告もアダルトやギャンブルや違法コンテンツを提供する媒体へ掲載されてしまうリスクがあります。

ブロックチェーンは情報の改ざんが出来ないことが一つのメリットです。
アドベリフィケーションの問題はサイトの情報が途中から変更される。
ドメインが売却されて全く異なるサイトになっているなどが原因になることが多いです。

ブロックチェーンによるサイト管理を導入することで、配信媒体管理という面ではブロックチェーンの価値が生かされるポイントではないでしょうか。

②アドフラウド:Ad Fraud

これはbotなどを使い無効な登録や注文を行い、広告効果などを不正に水増しする不正のことをさします。
ブロックチェーンは一つ一つの契約(トランザクション)に対して承認をするアルゴリズムが存在します。
正しい契約を承認することで承認者はインセンティブを得ることができ、この仕組みがブロックチェーンの信頼を支えております。
第三者が登録や注文に対して承認作業を行う事でbotによる架空契約が出来ない仕組みを実現することが可能となります。

③アドブロック:Ad Block

これはインターネット広告をブロッキング(非表示)する行為です。
消費者からすればノイズを弾くことができる便利な機能ですが、広告代理店や広告出稿企業からすると死活問題です。
この原因は、興味のない情報のスパム的な配信や個人情報を利用されることの不安感から来ます。

自分の興味のある情報だけ配信されても、それは何か情報が抜き取られている感じがして気持ちの良いものではありません。
ブロックチェーンが実現した非中央集権型のデータ管理であれば、この問題を解決できる可能性があります。

企業が個人情報を管理するのではなく、データは分散化されて存在しており、一つずつは意味を成しません。

このような仕組みが一般化されれば、自身の情報が企業によって管理されているという不安は払拭され、興味のある情報だけが受け取れる社会となっても違和感は軽減される可能性が高いです。

④広告代理店不要論

このテーマは常に議論され続けてきました。
特に広告代理店の世界では1次代理店だけでなく、2次、3次と一つの広告で数社の仲介業者が存在することが多いです。

その分広告出稿費用も高額になる傾向があり、代理店制度が無くなれば広告コストが圧縮され消費者メリットへ還元できると考えられております。
ブロックチェーン技術により、広告業界以外にも代理店や仲介業を不要にする取り組みを実施できます。

ブロックチェーンにはスマートコントラクトという契約書情報を載せることができる機能が追加されております。
契約から実行まで全て自動化することが可能です。

専用のブロックチェーンを構築する必要はありますが、それでも従来のように複数の仲介業者が存在する仕組みは軽減されるでしょう。

⑤過剰SEO(検索エンジン最適化)

世の中の情報管理を検索エンジンが行うようになって久しいですが、今ではGoogle社がほとんどの情報を牛耳っております。
それに対抗するようにGoogleの検索エンジン対策競争が過熱しております。

この問題は消費者にも大きな損失を与えております。
必要な情報を正しく取得することが難しいのがネットの社会です。
これではせっかく情報化された世界にいるにも関わらず、メリットは半減してしまいます。

これに対してブロックチェーン技術を使ったメディアがいくつか誕生してきております。
これらは正しい情報が投票で選ばれ、全てブロックチェーンを通して管理がされているので、虚偽も不正も改ざんも行われない情報プラットフォームを実現しております。

将来的にGoogleの検索エンジンの在り方も脅かす存在になる可能性があります。

 

これまでいくつかの課題とブロックチェーンの活用方法を解説してきましたが、ブロックチェーン技術は魔法ではなく、上記解説した内容を実現するまでにまだ時間がかかる点もあります。

それでも、この未来のテクノロジーにより広告の在り方が変わることは間違いなく、今のうちに様々な検証をしておくことが未来を生き残る道であると確信しております。

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