ガートナーの調査結果「日本企業はデジタルビジネス化において世界の企業に遅れ」


まとめ
ガートナーの調査によると、日本企業はデジタルビジネスの取り組みで世界の企業に後れを取っていることが判明。要因は、変化に対応する“チェンジリーダーシップ”の欠如やIT人材不足などにあり、日本企業独特の組織文化の障壁が影響しているという。

2019年6月20日にガートナージャパンによって発表された調査結果によると、日本企業はデジタルビジネスイニシアチブで世界の企業に後れを取っているという。同調査は、世界89カ国の主要産業に携わる企業のCIO(最高情報責任者)とITリーダー3,102人を対象に2018年4月17日~6月22日に実施、日本からの回答者数は134人だった。

世界の企業が、デジタルビジネスへの取り組みを「開始段階」から「拡大段階」へと変化させる一方で、日本企業は4分の3以上が、デジタル化のプロセスに着手する「開始段階」を完了していない。また、31%が「デジタルイニシアチブなし」または「デジタルイニシアチブの願望、目標のみがある」と回答。デジタルビジネスの分野において、日本は世界と差が生まれていると指摘される。

複数回答可の質問である「CIOとして目標を達成する上で最大の障壁となるのは何か」では、「レガシーシステムの保守」という項目において日本企業と世界の企業を比較して特に顕著な差が表れた。日本の回答者の30%が、「レガシーシステムの保守で身動きが取れていないため、デジタルビジネスへの変化に着手することに注力していない」と回答した。

「リソースに関する障壁」について、日本企業のCIOやITリーダーの67%は「IT/ビジネスリソースの人数が不十分」を回答した一方、世界の先進企業では38%であり、日本の数値はかなり高い。「組織文化に関する障壁」は、日本のITリーダーによる回答は「チェンジリーダーシップ、計画。実行力が弱い」と回答する割合が32%と高かった。デジタルビジネスへの移行を適切に進める上で「チェンジリーダーシップ」の欠如に直面していることは、世界の企業と比較しても明らかだ。また、「IT部門とビジネス部門間の関係が効果的でない」「組織全体でイノベーションが進んでいない」という回答も多い。

日本企業は、過去のしがらみやしきたり、リスク回避型の姿勢を変えない限り、世界の企業に追いつくことは難しいとされる。ガートナーによると、ほとんどの日本企業は、データやアナリティクスには投資するものの、経験や勘に頼った経営をデータドリブンな経営へとシフトするまでには至っていない。この状況に問題意識を持つ優秀な現場のスタッフが社内外の利害関係者を巻き込み、本気でデジタル化を推進するようになることによって、今からでも後れを取り戻すことは可能であるとされる。30年前に日本企業が世界のイノベーションをリードしたように、デジタル化をリードできる日本企業が出現する可能性は残されている。

 

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