ハーバード、リーバイス、ニュー・アメリカがブロックチェーン技術を用いて労働福祉の改善試みる


まとめ
米名門ハーバード大学を含む専門機関がブロックチェーン技術の応用分野で新たな実証実験を行なっている。工場の従業員らをモニタリングし、労働状況やそれぞれの健康状態を管理するというもの。複数回の段階に分け、同技術の真偽を確立させていく狙いだ。

ハーバード大学、ジーンズ大手のリーバイス、米シンクタンクのニュー・アメリカ(New America)は、ブロックチェーン技術を応用し、労働福祉の改善を試みている。

ニュー・アメリカは、工場作業員の労働条件を管理するためのシステムを開発する、ブロックチェーンを用いた試験的なプロジェクトに、米国務省から80万ドルの予算が下りたことを発表。同プロジェクトの第1フェーズは2019年第2四半期にスタート、メキシコにおいて5,000人が働くリーバイスの製品工場3カ所を匿名性と安全性を保ちつつ監視する予定だとした。工場の従業員をモニターし、労働条件およびそれぞれの健康状態を管理する。

同システムは、ハーバード大学公衆衛生大学院 (Harvard T.H. Chan School of Public Health)の「ネット・ポジティブな企業のための持続可能性および公衆衛生イニシアチブ、SHINE(Sustainability and Health Initiative for NetPositive Enterprise)が定義するウェルビーイング指数をもとに、イーサリアムの開発スタジオであるコンセンシス(ConsenSys)が開発する予定だという。

サプライチェーン産業における、ブロックチェーン技術活用例のほとんどは、資材の追跡にとどまっている。SHINEのディレスター、アイリーン・マクニーリー(Eileen McNeely)博士は「ブロックチェーンによる労働環境を管理するためのソリューションは、世界中の労働者の健康にポジティブな影響を与える可能性を秘めたワクワクするイノベーションだ」と述べる。

コンセンシスの創業者ジョー・ルービン(Joe Lubin)氏によると、イーサリアムをこの試験的プログラムのベースにすることで、労働者が安全かつ匿名で重要な情報を共有できる、透明性の高い環境が生み出される。同氏は「我々のゴールは、従業員、サプライヤー、消費者が工場、製品、ブランドに関して十分な情報得た上で決断下せるようになるシステムを開発、テスト、そして拡大することだ」と説明する。

関係者はすでに、2020年に開始予定の同プログラムの第2フェーズを計画している。また、IBMも2つの異なるサプライチェーン・プロジェクトを1月に発表している。1つ目のプロジェクトは、コンゴ民主共和国の鉱山からフォードの工場に出荷されるコバルト鉱石を追跡するというもの。もう1つは、メキシコの鉱山から出荷される金属を監視することだという。どちらのプロジェクトも、ブロックチェーン・プラットフォーム、ハイパーレッジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)をベースに構築されている。金属産業における、児童労働などの違法行為を発見するのが狙いだ。

Previous アクセンチュアが生体認証にブロックチェーン技術を応用 オランダ、カナダと提携
Next ユニセフ、キルギスの学校におけるインターネットの普及をブロックチェーンを用いて調査