IBMが開発したブロックチェーンを独大手製薬会社が活用 患者の安全性向上を目指す


まとめ
製薬業界の共通の課題は、従来の臨床試験におけるプロセスや記録方法が不完全であるため、時に誤りにつながることであった。それは、重大な事故を起こしかねない。ブロックチェーンによって臨床データの完全性と透明性を担保し、臨床試験プロセスの自動化につながるかを検証することで今までの課題を解決することに繋がるかもしれない。

独製薬企業で多国籍企業のベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim)は、カナダにおいてIBMが開発したブロックチェーンの試験運用を始める。ベーリンガーインゲルハイム(カナダ)とIBMは、IBMのブロックチェーン・プラットフォームを共同で活用、臨床試験における透明性と患者の安全性を向上を目指すと発表した。

同製薬会社は、「従来の臨床試験におけるプロセスや記録方法は不完全で、時に誤りにつながることがある」と説明。場合によっては、患者を危険にさらすリスクも高まるという。今回の取り組みを通して、ブロックチェーンがどれほど臨床データの完全性と透明性を担保するか、臨床試験プロセスの自動化につながるかを検証するとしている。

ベーリンガーインゲルハイム(カナダ)の医療・規制関係部で副代表を務めるUli Brödl博士は「現在の臨床試験を取り囲むエコシステムは、極めて複雑だ。本来重要視されるべき患者を取り巻く環境の質は軽視され、そこには多くの利害関係が関与し、十分な信頼と透明性、高効率のプロセスは確保されていない」と述べる。

Claude Guay氏(IBMカナダのサービス・ジェネラルマネジャー)は「我々は他の産業でブロックチェーンを活用してきたが、今回の取り組みで我々がしっかりと見ていきたいことは、患者の健康に関する情報を扱う医療現場においてこの技術が高い水準のセキュリティーと信頼を提供できるかということである」と言う。

ここ数年で他の製薬大手にもブロックチェーン技術の利用を検討する動きがよく見られる。米ファイザー(Pfizer)アムジェン(Amgen)、仏サノフィ(Sanofi)は、ブロックチェーン技術を活用し、新薬開発のプロセスを効率化することが可能かを検討している。独メルク(Merck)は、医薬品がサプライチェーンの中で偽造品が作られることのないよう、ブロックチェーンを用いた追跡方法を開発し、特許の申請も行なっている。NITI Aayog(印政府系シンクタンク)もまた、偽造医薬品の取引を防止するため、2018年4月にブロックチェーンを活用した手法の開発に乗り出している。

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