金融庁の規制緩和により、銀行・新興IT企業の間で送金システムにおける競争が激化


まとめ
これまでの銀行業のビジネスモデルの崩壊が歯止めの利かないほど大きく進行している。今や、デジタル技術を駆使した上で「銀行」ならではの新しい価値を創造していくことがより一層求められてくる時代になった。大手メガバンクを中心に対策を急ピッチで進めている。

新興IT企業は、金融庁が銀行以外の事業者にも一度に100万円超の送金を認める規制緩和案を打ち出したことによって、銀行業界の基幹業務をまた1つ台頭することになる。一方、6月13日の記者会見において、全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は、「銀行に近い決済機能を果たすなら、銀行と同等の安心安全策を確保することが重要だ。ぜひ切磋琢磨して競争したい」と述べている。

送金業者とは、金額制限がない免許制の銀行と、100万円の上限がある登録制の資金移動業者の2種類がある。スマートフォン決済など個人の決済では新興企業が発展する一方、部品の仕入れなどで多額のお金の取引がある企業間送金では銀行を使わざるを得ない。

今回の規制緩和では、資金移動業者でも100万円超の高額送金ができる区分が作られる。しかし、マネーロンダリング対策などで同時に厳格な対応が求められる。新興企業が短期間で追いつくことが難しい理由の1つに、銀行業界がコンプライアンス部門に大量の行員を配置するなど対応を強化していることが挙げられる。資金洗浄や制裁対象国への送金などの違反行為が見つかった場合、規制当局から巨額の罰金が科される。

他方、新興企業は、LINEがみずほフィナンシャルグループと提携し新銀行を作るなどして、資金洗浄対策のノウハウを取り込む動きが見られる。企業間送金の競争が激化し続ければ、1回で数千円から1万円近く手数料がかかる銀行の国際送金にも値下げ圧力がかかる可能性がある。銀行側も、ブロックチェーン技術を活用した低コストの送金サービス開発を進めている。

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